ドリマガ新企画!「擬態」+「タイポグラフィ」=「ギタイポ」
ギタイポ録
百聞は一見にしかず!これまで採取してきたギタイポの一部を紹介します。
「 g 」
ハサミの持ち手 / 撮影者自宅にて(撮影:玉木裕希)
書き文字の「g」ではなく、CenturyやGill Sansの欧文フォント。ふだんフォントに慣れ親しんでなければなかなか採取することができない高品質のギタイポ。
「ひ」
観用植物 / 撮影者勤務先にて(撮影:玉木裕希)
葉っぱ自体がギタイポなのではなく、白い背景があることで、強調された葉っぱのエッジにタイポが潜んでいることに気づかされる秀逸なギタイポ。
「 m 」
映画『時計仕掛けのオレンジ』ポスター / 撮影者自宅にて(撮影:美山有)
見慣れた有名グラフィックも、一部をトリミングしてみればタイポが隠れている。こちらは、スタンリー・キューブリック監督『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスのナイフを持つ手。
「 4 」
視覚障害者誘導用ブロック / 東京メトロ「明治神宮前」駅にて(撮影:兵藤茉衣)
見えない人のためにある街の要素が、見える人にとって違う意味を持つことが興味深い。なお、視覚障害者誘導用ブロックはギタイポの宝庫であり、比較的簡単に採取可能。
「 Y 」
柱 / JR「東京駅」丸の内南口付近にて(撮影:樫村有紀)
立体構造物のギタイポ。屋根を支えている「Y」から縁の下の力持ちのような性格が感じられ愛着が湧く。
「 Y 」
イチョウ / 慶応義塾大学 三田キャンパスにて(撮影:金七恵)
同じ「Y」でもこちらは自然物。ギタイポを採取しながらの散策は、四季の変化も敏感に感じ取れる。
「 3 」
非常階段 / 渋谷区神宮前1丁目にて(撮影:宮村ヤスヲ)
少しでも角度が変わるとギタイポに見えなくなってしまう。1つの対象物でも、角度を変えたらいくつかのギタイポが隠れていることもあるかもしれない。
「 サ 」
地図 / 東郷神社境内にて(撮影:兵藤茉衣)
地図は上空から街を見下ろすことができるツールでもある。もしかしたら、あなたの住まいも上空から見たらタイポが擬態してるかも…(ちなみにドリフターズ・インターナショナルのオフィスはYのギタイポ)
ギタイポという新しい視点の提案
「ギタイポ」は、散策と日常をより濃密に楽しむための新しい視点の提案です。「ギタイポをみつけた!」という喜びはもちろん、何気なく通りすぎていた街や気に留めず使っていた道具に目を凝らすことで、「こんなお店があったなんて」「ガードレールっていろんな形があるのね」「あの看板、スペル間違ってる…」などなど、予期せぬ発見に出会います。見慣れた街角を観察する視点をほんの少しズラしてみるだけで、新鮮な気持ちで街を体験することができるのです。
これまで採取してきたギタイポは、Instagramとtwitterでご覧いただけます。随時更新していますので、是非チェックしてください。
ギタイポロゴデザイン
ギタイポを採取する視点で読み解くギタイポロゴ。ロゴマークのポータルサイト・ロゴストックが開催する「ロゴデザイン大賞2013」にも入賞しました。デザイナーの美山有(なんだろうズ)にコンセプトを聞きました。
「擬態」と「タイポ」を組み合わせた造語になっているので、ひとめでコンセプトが伝わるようなロゴにしたいと思いました。
町の中でギタイポを探すとき、普段とはちがった見方で周りを見ます。「これは何に見えますか?」というクイズや心理テストで、わざと人とちがうものに見えてやろうというときの見方です。
そのときの、夢中になってかくれているものを探している感じゃ、これぞというものが見えたときのうれしい感じをロゴで表現したいと思い、図と地の関係を利用して考えました。
「え?これなんて読むの?・・・あ、ギね!ここにギあるのね!」というように、ロゴに、そしてその流れでギタイポの活動に興味をもっていただけたら幸いです。
デザイナープロフィール:美山有(ミヤマユウ)
1992年生まれ。文字が大好きで、ロゴ制作などタイポグラフィのデザインを中心に活動中の駆け出しデザイナー。謎のデザインユニットなんだろうズのメンバー。
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