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編集長の読書日記in台湾

9月上旬、まだまだ暑い日に、3泊4日で台湾に行ってまいりました。観光がメインでしたが、台湾の本屋さんってどんな感じなんだろう?といくつか巡ってみましたので、ご報告します。
 

 

 

 

そういえば、海外での本屋さんの思い出って、何かあったっけ。

 

図書館で台湾のガイドブックをめくりながら、ぼんやりとそんな事を思っていました。

 

初めての海外渡航は、高校1年生のとき、フランスでの2週間のホームステイでした。県の友好姉妹都市への派遣団としての渡航だったので、スケジュールはすべてキッチリピッタリと決まっていて書店に行く暇などありませんでした。ホストファミリーが街を案内してくれたとき、一瞬だけ行った小さな書店には、小川洋子さん、よしもとばななさんの仏訳本がおいてあり、日本語のものとは違う、あわい色彩の装幀をきれいだなぁと思ったことが、ぼんやりと記憶の片隅に残っているだけです。

 

その次は、大学1年生の春休みにドイツに1ヶ月間行きました。これも大学のカリキュラム。ドイツのど真ん中あたりの田舎町では、フリーWi-Fiが使えるのが街の書店しかなく、ずっとそこに入り浸っていた記憶がありますが、本のページをめくった覚えはありません。ちょうど滞在中に東日本大震災が起きたので、家族や知り合いとスカイプをすることで、頭がいっぱいだったような気がします。

 

これは結構由々しき事態なのではないだろうか。

 

そもそも、個人での初海外旅行。これは、ぜひとも本屋さんを探索してみなければ!という思いから、セッセとインターネットで台湾のおすすめ書店を調べ始めました。

 

残念ながら、実際に足を運ぶことができたのは2つだけでしたが、どんな雰囲気だったかお伝えします。

 

1)     誠品書店

台北101のほど近くにあるデパート「誠品信義店」の中にある書店です。

イメージとしては、代官山蔦屋書店と、渋谷のMARUZEN&ジュンク堂書店を合わせたような感じでしょうか・・・明るくて広く、いかにも「デパートの本屋さん」です。ジャンルごとに部屋が決まっていて(このあたりが代官山蔦屋っぽい)、どんどん奥に進むと、お店をぐるっと一周できるようになっています。

 

台湾の書店デビュー!と息巻いて行ってみた所、あれ、見たことのある雑誌が沢山置いてある・・・芸術新潮、カメラ日和、BRUTASなどなどの日本語の本が入ってすぐの雑誌コーナーに多く置いてありました。むしろ、台湾発の雑誌って置いてあるのかな・・・?と疑問になるほど。雑誌だけでなく、書籍も日本語や英語のものが大量に置いてありました。

例えば、私は建築の部屋に行ってみたのですが、伊東豊雄さんや谷尻誠さんといった人物の本が日本語のまま、売られています。文学でも、村上春樹の著作はほぼ日本語の文庫版が置いてありました。

 

確かに、台湾では道に迷っていたりすると、英語で話しかけてくれたり、お店の人も日本語で日常会話が出来る人はたくさん見ました。

でも、だからといって日本語の本も日常的に読むのか?と店内のいたるところで本を読んでいる人々をチラっと見ましたが、皆さん、やはり中国語の本を読んでいました。(当たり前か)

何が書いてあるかわからないけど、デザインとか写真がかっこいい~と洋書を買っちゃうようなノリで買うんでしょうか。それくらい外国語の本が本当に多かったです。

 

 

誠品書店  台北市松高路11號  http://www.eslite.com/

 

2) VVG Something 好様本事

この書店は、世界の美しい書店ベスト20にも入るお店。若者のカルチャーが集まる街、忠孝敦化駅の路地裏の一角にあります。お店周辺は、日本の裏原宿っぽい雰囲気で、碁盤の目状に整備された道路に、洋服屋、雑貨屋などが並ぶおしゃれな一帯です。実際行ってみると、思っていた以上にこじんまりとしたお店ですが、中は写真集やアート系の書籍が大量に置いてあります。

また、店先には色々なイベントのDMが置いてあったり、ZINE、ポストカードなども販売していました。店内では、20代くらいの若い女性が5名ほどいて、真剣な顔で写真集を捲っていました。

 

「今日はこの本を買わねば!」と目的が決まっている時に向かうのが誠品書店だとすれば、VVG Something 好様本事は、ふらふらっと確たる目的もないときに、なんとなく寄ってみるのが似合うお店だと思います。色々と時間をかけてじっくりと見回し、自分の気に入るZINEや小物を見つける楽しみが詰まっていました。

 

目印は赤いドア

VVG Something 好様本事でゲットしたフライヤー

 

VVG Something 好様本事  台北市忠孝東路四段181巷40弄13號  http://vvgvvg.blogspot.jp/

 

番外編)Big Issue 台湾版

街中を歩くとホームレスの人々に会うことは、どの国でも同じ。

台湾では、様々な物売りの人が信号待ちをしている人にそっと近づき声をかけると、大抵の人が買っていたのが印象的でした。(30代前半くらいのサラリーマンの人が、絶対に使わないであろう小物を買ったりしている風景を何度か見ました)

足裏マッサージを受け、旅行で酷使した足の疲れも取れたから、いざ街へ再び繰り出そう!というとき、ふと目についたのが、BIG ISSUEの販売員のおじさんでした。日本でも買ったことがないけど、これはBig Issueデビューするしかない!とコリがほぐれ心も体もゆるゆるになった私はパッと声をかけました。

 

右が台湾のBIG ISSUE。左は日本版。

 

というのも、以前、インターネットの記事で「台湾のBig Issue」はかっこいい、というものを読んだのを思い出したからです。(Big Issue台湾版のバックナンバー表紙はこちらから見ることができます。→http://www.bigissue.tw/recentissues

私が買った号はイギリスの写真家、ジュリアン・ジャーメインの写真が表紙。日本のものと比べると、ちょっと小さいものの、ページ数はかなり多めです。

 

台湾版Big Issue の中のあるページ。かわいいな。

 

 

The Big Issue TAIWAN公式ウェブサイトhttp://www.bigissue.tw/

 

 

台湾は日本からも近く、(この旅行のあと沖縄にも行ったのですが、第二次世界大戦中、沖縄戦が開始されると、人々は九州や本州だけではなく、台湾へ疎開するケースもあったようです)人々の顔、街の様子も似通っています。

しかし、夜市に広がる独特の油の臭い、大量のバイク通勤者、ほとんどの建物の窓にある格子などの小さな違いに異国を感じ、日常のエアポケットに落ちてしまったかのような感覚に陥る国でした。

 

 

 

 

おまけ

台湾にゆかりのある作家では、以前も読書日記で紹介しましたが、温又柔さんが好きです。彼女の作品にも、似ている(と、多くの人々が思い込んでいる)けれども全く別の国、別の文化のはざまに生きる人々の様子や感情が、瑞々しく描かれています。

 

 

 

writer profile

金七 恵 (きんしち めぐみ)
1992年生まれ 後楽園⇔神楽坂他 ドリフターズ・マガジン編集長