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編集長の読書日記 其の三

諸事情により、更新をお休みしていました。すみません。 今回は、お休みしている間に読んだ、印象に残っている本をご紹介します。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『わたしの美術遊園地』(山本容子著、マガジンハウス)

銅版画家である著者の大学生時代のエピソードや、有名画家たちの「サーカス」から連想される作品を紹介。ちなみに、美術遊園地は、実際にヨーロッパのアーティストたちによって開催されたことのある、移動式の遊園地で、著者もぜひやってみたいと考えているそうだ。

大学生の初々しく、無知であることを武器に芸術の道に進み始めた彼女の姿勢が美しい。

 

 

『本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事』(高瀬毅著、文藝春秋)

私が毎日使う上野駅にも、幅さんが作った本棚がある。(ちなみに彼は私の大学・学部・学科の先輩でもある)(なんの接点もありませんが・・・)(大学での授業にあまり魅力も感じていなかったようですね)

そんな彼の原点を探るのがこの一冊。病院での入院患者の方々に向けての本棚作りに苦戦、福岡の美容院での新たなイメージ作りに一役買う本棚・・・。ブックディレクターという仕事の裏側を丹念に追っている。「本が好き」というだけでは、できないなぁ。

 

 

 

『来福の家』(温又柔著、集英社)

東京国際文芸フェスティバルで知った作家さん。中国、台湾、日本という3つの地域をバックグラウンドに持つご自身を「チャパニーズだ」と宣言している。

彼女の作品にも、この3つの地域の中で揺れ動く少女が登場する。物心着く前には日本に移り住み、少女に成長してから親戚の住む台湾に行けば「この子は日本人だ」と言われ、日本では中国人名だからという理由で「日本人ではない」と言われる。

しかし、全編を通して暗さは隠され、表現されているのは少女の透明な気持ちであり、爽やかな気持ちになる。

 

 

 

『かわいそうだね?』(綿矢りさ著、文藝春秋)

彼女の描く女性たちはいつもどこかズレている。

本書でも、元カノと彼氏が「やむを得ない事情から」同棲していながらも(そして元カノの方はどうやら彼にまだ気があるようだ)、彼のことを信じて、なんとか自分にこれまで以上の関心を持ってもらおうとする女性が主人公だ。

読んでいるこちらからすれば、「そこでその判断は間違っているでしょ!!!」と突っ込みをせずにはいられない。

それでも、そのまま主人公は間違った方向に突き抜けてしまい、もう誰にも何も言わせてくれない。「この生き方、きっついな」と思うが、それはそれで読んでいて気持ちが良い。

 

 

 

読み途中ですが、『親指Pの修業時代』(松浦理英子著、河出書房新社)が私の中で半端ないセンセーションを巻き起こしています。

 

 

 

writer profile

金七 恵 (きんしち めぐみ)
1992年生まれ 後楽園⇔神楽坂他 ドリフターズ・マガジン編集長