【女の子には内緒】インタビュー
金七:今日は、お時間をいただきありがとうございます。公演について伺う前に、まず、DRIFTERS SUMMER SCHOOL ADVANCEについて教えてください。
兵藤:DRIFTERS SUMMER SCHOOL ADVANCEは、2010年から開催しているドリフターズ・サマースクールの卒業生たちから企画を公募して、主催者であるNPO法人ドリフターズ・インターナショナルの理事と私が、1番未来を感じる独創的な企画を、全力でサポートする、という企画です。具体的には稽古場や公演会場の確保、広報など、自立してもらうための後方からの応援ですね。いま、ちょうど、READY FOR?というクラウドファンディングのウェブサイトにて、支援金集めを開始しています。(https://readyfor.jp/projects/DSSAD13)
この企画を始めようと思ったのは、若いアーティストの人たちが、資金や場所などが無いから自分の作品を発表したくても内輪で終わってしまうという閉塞感を私が持っていたことがきっかけでした。今、作りたい気持ちがあるけど、自分たちだけでは実行するのが難しい人に、次につながるようなことをしてほしい、自分の身の回りのことだけじゃなくてもっと遠くを見てほしいと思っています。
今回はファッションショーとかダンス公演など5組から応募がありました。その中で、1番、企画書の段階で、柳生くんのやりたいことに共感が集まったんです。柳生くんだから、このコンセプトが面白いというのもあったけど、舞台上と映像上で並行して話が進むという演出も興味深かったですね。私個人の1番の決め手は、やっぱり創作意欲なのか危機感なのか中二病なのかなんなのか分からない熱意がとても強く伝わってきたから、と感じています。
金七:ありがとうございます。「柳生くんのやりたいこと」と兵藤さんがおっしゃっていましたが、具体的なコンセプトなど教えてください。
柳生:この公演は、「小さな足掻きが世界を変える」というコンセプトで作品を作っています。これは、僕らが生きている中である種のきっかけがあるんじゃないか、というところからスタートしました。例えば、10年後に振り返ると「あれが僕のターニングポイントだった」と言えるような出来事も、今の段階では全然どうなるか分からないですよね。気が付きもしない。だけど、そういう日常を積み重ねていくことによって未来が見えてくるんじゃないか、と考えていました。
金七:この問題意識はいつ頃から持っていたんですか?
柳生:中学3年生の反抗期位からずっと頭の中にありました。そういう風に思い込まないと前に進めないのかな、という自己暗示もあって、いまだ抜け出せてないんです。
金七:役者さんもワークショップを行って、そこで出演者を募ったんですよね。
柳生:ワークショップには、予想していた以上に参加者が集まってくれました。
そこで僕が見ていたのは、役者さんの立ち姿ですね。自分の作品に合うかどうかももちろんですけど、僕自身が、その人を描きたいかどうかを重点的に見ていました。
金七:ワークショップの段階で脚本がかっちりと決まっていたというわけではないんですね。
柳生:そうです。役者さんを見て、そこから物語をつくろうと考えていました。もちろん、主人公は決まっていたんですけど、その周りに出てくる登場人物は、役者さんを見てから作りました。
黒木:役者さんは基本的にモチベーション高いですよね。
柳生:そうですね。役者さんから「ここはこうした方がいいんじゃないか」ということも言ってくださって、議論を重ねつつ進めています。最初は、「舐められたらいけない」という気負いがありましたけど、皆「柳生は、こういう人なんだ」と分かってくれて、やりやすい環境になってきました。
あと、実は、役者さんの1人がギックリ腰になってしまって出演できなくなってしまったので、これから脚本を作り変えるんです。その人が欠けたことでどうなるかもまだまだ未知の部分ですし、結末も稽古をしていく中でどんどん変わっていくと思います。
黒木:この作品は、舞台上の人たちと映像の中の人たちがいるんです。一方は予定調和な世界で、もう一方はそれに抗おうとするという形で話が進みます。なので、そのふたつが寄り添ったり、乖離したりしてストーリーが進むんですけど、稽古の段階から、すでに柳生くんが予定調和から乖離し始めている(笑)。作品の世界にすでに住んでいるんですね。
兵藤:私、稽古はまだあまり見られてないのですが、俳優やスタッフと話していて感じるのは、皆が「柳生くんのために一肌脱ぐ」みたいな空気ができていていいなと思いました。
金七:黒木さんは今回、舞台上で流す映像を作成するそうですが、どういったものを?
黒木:撮影はまだ始まっていないので、まだ、これからなんですよね。
映像は、舞台上の人の話と映像上の話が上手くつながればいいな、と話をしていました。やっていきながら、演技の練習をしたりするとどんどん変わると思います。だけど、撮影は早くやろうと言っていて、明日、千葉にロケハンしに行きます。
あと、僕からも柳生くんに質問だけど・・・タイトルはなんで「午前3時の子供たち」にしたの?
柳生:自分が進んでいる実感が無い中で僕たちは決断したり、何かをやっていかなければならないですよね。そういう風にプラスにしてもマイナスにしても物事は変わっていく。それはある種の賭けでもあり夜明けだな、と感じたんです。それで、夜でも朝でもある時間帯の「午前3時」と、皆あがいているので、その様は子供のようだと思って、「子どもたち」という2つの単語を組み合わせました。
金七:なるほど・・・。今回が旗揚げだから、すべてが柳生くんにとっては初めてなんですよね。
柳生:何もかもが手探りです。だからスタッフや役者の皆さんとコミュニケーションをとりつつ進められたらと思っています。
あと、僕が作品作りで念頭においているのは、「人を驚かす」ということなんです。見た人にまず「面白かった」って言わせたい。その後に、すぐ忘れられるものじゃなくて、引きずっちゃうようなものにしたいというか、「うわーっ」という余韻を残せるものにしていければなと思います。
【近日、稽古場や役者さんたちの様子もお伝えする予定です。乞うご期待!】
※女の子には内緒公式WEBサイト→http://niha-naisho.info/
※※クラウドファンディング・READYFOR?のページ
writer profile
1992年生まれ 後楽園⇔神楽坂他 ドリフターズ・マガジン編集長