開催終了。
Q / 市原佐都子 『妖精の問題』オンラインツアー
私は見えないものです。 見えないことにされてしまうということは、 見えないことと同じなのです。
見えないものは存在しないものではない。2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに書かれたQ『妖精の問題』は、現代日本社会において差別や嫌悪の対象となり、ときに見えないことにされているものごとに「妖精」の名を与え可視化する。2018年にはKYOTO EXPERIMENTの公式プログラムとしても上演された本作は、顔の美醜、あるいは優生思想や出生前診断といった極めて「人間的」な問題を、突然変異のゴキブリや共生菌といった非人間的視点を経由することで相対化し、人間の生と性を過激に問い直していく。落語形式の第一部「ブス」、歌謡ショー形式の第二部「ゴキブリ」、怪しげなセミナー形式の第三部「マングルト」と異なる3つの形式を(ほぼ)一人で演じ切る竹中香子の怪演は、観客にときに生理的嫌悪感さえ与えながら目の前の「問題」から目を背けることを許さない。 オンライン版では新たに数名のキャストを加えるとともに、第一部をオンライン通話に、第二部をミュージカル風の映像作品に、第三部をウェブセミナーに変換。観客は劇場版とはまた異なる形で画面越しの上演に巻き込まれることになる。
Q『妖精の問題』オンラインツアーでは舞台版の配信、新たに現地キャストと共同するオンライン版の上演と併せ、現地のプロデューサーや批評家、研究者を招いてのトークセッションを実施する。『妖精の問題』で扱われるジェンダーや顔の美醜、障害などの問題に対する捉え方やそれらを考えるにあたって前提とする「常識」は観客の文化的背景に依存している。観客に対し作品の背景となる現代日本社会のコンテクストを提示することで作品に対する一層の理解を促すとともに、日本の観客とは異なるコンテクストを持つ現地の観客からの違和感や反発も含めた反応をすくい上げ、議論を交わすことで、日本/現地それぞれのコンテクストからは「見えていないもの」が浮き彫りとなるだろう。それは作り手/観客それぞれの価値観を改めて問い直す契機となるはずだ。
<アーカイブ配信(YouTube)>
期間:6月21日(月)〜6月27日(日)
トークセッション(日中)
https://youtu.be/vxRNvtpB0Ow
インドネシア版配信
https://youtu.be/G0XzPHNtY_s
トークセッション(日中尼合同)
<アーカイブ記事(precog note)>
異なるまなざしで作品を見る——Q/市原佐都子『妖精の問題』オンラインツアー トークセッション
https://note.com/precog/n/n281fd2802bee
<公演概要>終了しました
日程 2021年5月29日(土)〜30日(日)
中国語字幕配信
日程:5月29日(土)〜30日(日)
舞台版『妖精の問題』を期間限定公開
言語:日本語上演、中国語字幕
視聴料:無料 現地特設サイト(中国語):https://mp.weixin.qq.com/s/6K8wmVrbiU9_6vPH6L6lSw
舞台版『妖精の問題』(字幕なし、6カ国語字幕) 国際交流基金 オンライン配信プロジェクト 「 STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances 」 『妖精の問題』 https://youtu.be/svjSi3xsa80
インドネシア版配信
日程:5月30日(日)
15:30〜(西インドネシア時間)/ 17:30〜(日本時間)
過去に行ったオンライン公演の記録映像を一部使用しながら、新たに現地キャストと協働するインドネシア版『妖精の問題』を上映
言語:日本語、インドネシア語上演、インドネシア語字幕
視聴料:無料(要予約)
予約フォーム(インドネシア語):bit.ly/RegistrasiMasalahPeri
*インドネシア語上演部分につきましては日本語の字幕はございません。 オンライン版と演出は異なりますが、舞台版「妖精の問題」は下記より視聴が可能です。事前にご覧いただくことをおすすめします。
国際交流基金 オンライン配信プロジェクト
「 STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances 」
『妖精の問題』: https://youtu.be/svjSi3xsa80
トークセッション
5月29日(土) (中国のみ)
18:00〜(中国時間)/17:00〜(日本時間)
日本、中国の2か国のトークセッション
日中の演劇シーンの状況や文化的コンテクストを互いに共有、意見交換し、『妖精の問題』への理解を深めていきます。
登壇者:Zhang Yuan(上海・現地プロデューサー)、Shi Ke(上海・演劇評論家、俳優)、 老妖精(上海・現地劇団)、市原佐都子(日本)
視聴:https://is.gd/AB8Zgh (bilibili)
5月30日(日)インドネシア版配信上映後 (中国・インドネシア 合同)
日本、中国、インドネシアの3か国の合同トークセッション
作中で語られる「妖精」とは何か?
それぞれの社会の中で、「見えない(ことにされている)もの」とは?
作品を通じてそれぞれの問題意識を交換しトークを行います。
登壇者:Zhang Yuan(上海・プロデューサー)、老妖精(上海・劇団)、Muhammad Abe(ジョグジャカルタ・プロデューサー)、Rebecca Kezia(ジョグジャカルタ・舞台芸術研究者、プロデューサー)、Arsita Iswardhani(ジョグジャカルタ・俳優)、市原佐都子(日本)
通訳:田村かのこ(Art Translators Collective)
予約(インドネシア版配信):bit.ly/RegistrasiMasalahPeri
<メッセージ・プロフィール>
市原佐都子
「この作品が、中国とインドネシアの観客にどのように受け取られるのか、また、どんな対話が生まれるのか楽しみにしています。」
劇作家・演出家・小説家・城崎国際アートセンター芸術監督。1988年大阪府生まれ福岡県育ち。桜美林大学にて演劇を学び、2011年よりQ始動。人間の行動や身体にまつわる生理、その違和感を独自の言語センスと身体感覚で捉えた劇作、演出を行う。2011年、戯曲『虫』にて第11回AAF戯曲賞受賞。2017年『毛美子不毛話』が第61回岸田國士戯曲賞最終候補となる。2019年に初の小説集『マミトの天使』を出版。同年『バッコスの信女 ─ ホルスタインの雌』をあいちトリエンナーレにて初演。同作にて第64回岸田國士戯曲賞受賞。公益財団法人セゾン文化財団セゾン・フェロー。
プロデューサー:Zhang Yuan (中国語字幕配信)
「『妖精の問題』は、今の日本社会では見えないものを前に、独自の演劇言語をうみだし、その過程で落語やミュージカル、ワークショップを不可解にも組み合わせているのが新鮮でした。 今回は、新世代のクリエイター、Q/市原佐都子を中国で紹介します。市原さんは、新作「バッコスの信女、─ ホルスタインの雌」で昨年の岸田國士戯曲賞を受賞しました。 おそらく彼女の戯曲の言語的な鋭さを直接評価することはできないだろうし、ここでは彼女のユニークな、希有でさえある、探求的なスタイルを、単に女性の視点や感性だけにまとめたくはありません。 世界の演劇人は共通のジレンマを抱えていますが、この交流は継続しなければなりません。 5月29日(土)の夜にオンラインでお会いしましょう」
現代舞台芸術のキュレーター、プロデューサー、ライター。中国国内外の劇場、フェスティバル、美術館、芸術機関と協力して、数多くのパフォーマンス・プロジェクト、展覧会、講演会、ワークショップを開催し、現地の現代舞台芸術シーンと国際的なコラボレーションを促進している。2020年には、過去20年間の中国本土での現代パフォーマンスをアーカイブした展覧会をOCAT Shenzhenで開催した。
2017年から上海明現代美術館(McaM)でパフォーミング・アーツ・キュレーターとして、パフォーマンス・シーズンのキュレーション、様々なパフォーマンス・プロジェクトの発表と委託、フェスティバルや機関との国際共同制作を行う。2020年よりフリーランスとして活動。
プロデューサー:Muhammad Abe(インドネシア版配信)
「Question of Fairiesは、市原佐都子による強力なパフォーマンスです。ユーモアとダークコメディをツールとして、身体の部位や、私たちの日常文化を取り巻いている家父長制の文化について、批判することなく語っています。このパフォーマンスは、私たちが人前で話すことを避けていた部分や、覆い隠されてきた部分に深く入り込むことで、固定観念を覆します。言葉や、思いもよらないアイコンを使って発信される佐都子のメッセージは、インドネシアのアーティストたちに強烈なインスピレーションを与えています。」
ジョグジャカルタで毎年開催されているインドネシア戯曲リーディング・フェスティバルのキュレーター。同フェスティバルはリーディングを通して新しい戯曲を一般観客に紹介することを目的としている。ガジャマダ大学で歴史学(学士)、舞台芸術・美術(修士)を修める。ジョグジャカルタ・ビエンナーレ財団のプログラムEquator Symposiumや、ソロ・マタラム・フローレスにフォーカスしたPekanTeaterNasional(National Theater Festival)のリサーチャーもつとめた。Kompas Daily(インドネシア現地新聞)やInsideIndonesia(現地英字雑誌)、ArtsEquatorに、演劇や美術に関する論考を発表している。
バリアフリー型の動画配信プラットフォーム「THATRE for ALL」ウェブサイトにて、4か国語(日英中尼)での情報を公開中
THEATRE for ALL 『妖精の問題』特設ページ:https://theatreforall.net/movie/thequestionoffairies_online-tour
<クレジット>
作・演出:市原佐都子
【中国語字幕配信】
出演:竹中香子、兵藤真世、山村崇子(青年団)
演奏:杉本亮
音楽:額田大志(東京塩麹/ヌトミック)
舞台美術:中村友美
ドラマトゥルク:横堀応彦
舞台監督:岩谷ちなつ
照明:川島玲子
音響:椎名晃嗣
映像:松澤延拓、堀田創
制作:増田祥基
映像編集:桜木美幸
配信映像:KYOTO EXPERIMENT 2018公式プログラム招聘公演より(主催:KYOTO EXPERIMENT)
プロデューサー:张渊
共催: 国際交流基金北京日本文化センター
中国語字幕翻訳:伯劳、良芥(査読)
中国語翻訳:革革巫
広報:仮芸術節(Fake Festival)
トークセッション通訳:林舒
特別協力:林翠西、祝天怡、劉格非
【インドネシア版配信】
出演:Uul Sjareefah Lail、 Aik Vela
映像出演:遠さなえ、竹中香子、寺田華佳、西田夏奈子、日髙啓介(FUKAIPRODUCE羽衣)、山村崇子(青年団)、山根瑶梨
音楽:額田大志(東京塩麹/ヌトミック)
録音演奏:杉本亮
プロデューサー:Muhammad Abe
インドネシア語翻訳:Tomomi Yokosuka
映像:Yustiansyah Lesmana and Crew
制作アシスタント:BM Anggana
ポスターデザイン:Makhrus Amri
広報:Amelia Rizqi Fitriani
テクニカルディレクター:須藤崇規
カンパニー制作:山里真紀子(Q)
プロデューサー:黄木多美子(precog)
プロダクションマネージャー:馬場結菜(precog)
制作アシスタント:遠藤七海(precog)
製作:一般社団法人Q
主催:一般社団法人ドリフターズインターナショナル
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画制作:株式会社precog
代表取締役/エグゼクティブプロデューサー 中村茜
執行役員/広報・ブランディングディレクター 金森香
シニアプロデューサー 平岡久美
チーフプロデューサー 兵藤茉衣
チーフアドミニストレーター 森田結香